はじめに
現代社会では、エレベーターやエスカレーターが便利で、つい楽な方を選んでしまいがちです。しかし、階段を使った移動には驚くべき健康効果があることが、近年の大規模研究で明らかになっています。今回は、階段移動の科学的根拠と、私自身の実践体験をお伝えします。
階段移動の科学的に証明された健康効果
1. 心血管疾患リスクの大幅な低減
英国バイオバンクによる12.5年間の追跡調査では、毎日50段以上の階段昇降を行う人は、心筋梗塞や脳卒中などの動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)の発症リスクが最大23%も低下することが判明しました。また、1日60~100段の階段昇降で、慢性閉塞性肺疾患や2型糖尿病のリスクも低下することが確認されています。
さらに、チューレーン大学の研究では、階段昇降を1日16~20回行うことで、心筋梗塞や脳卒中のリスクが20%以上減少するという結果も発表されています。
2. 血糖値と脂質の改善効果
中高齢者を対象とした研究では、階段昇降運動(1日4分以上、週4日以上を75日間継続)により、以下の指標が有意に改善されることが明らかになりました:
- 中性脂肪の低下
- HDLコレステロール(善玉コレステロール)の向上
- HbA1c(血糖指標)の改善
- 下肢筋力と敏捷性の向上
3. 効率的なカロリー消費と脂肪燃焼
階段昇降は歩行の3~4倍の運動強度があり、短時間で高いカロリー消費効果が得られます。
メッツ(METs)とは? メッツとは運動強度を表す国際的な単位で、安静時を1として、その何倍のエネルギーを消費するかを示します。例えば、3メッツの運動は安静時の3倍のエネルギーを消費することを意味します。
運動処方では、歩行が1メッツに対し、階段昇降は約6~8メッツの強度とされています。つまり、階段を上ることは安静時の6~8倍ものエネルギーを消費する運動なのです。
4. 筋力強化と転倒・骨折予防
階段の上りは特に筋肉負荷が大きく、下肢筋力やバランス能力、骨密度の維持・向上につながることが複数の研究で実証されています。特別なスキルや道具を必要とせず、天候に左右されずに実践できる点も大きなメリットです。
体重52kgの私の消費カロリー計算
提供されたデータを私の体重(52kg)に換算すると、6分間の階段移動で以下のカロリーを消費できます:
- 平地歩行(4km/h): 約15kcal
- 階段昇降(上り): 約47kcal
- 階段昇降(下り): 約10kcal
階段の上りは平地歩行の約3倍のカロリーを消費し、有酸素運動と筋力トレーニングの両方の効果を兼ね備えています。結構な運動量になると驚きです。
私の実践方法と継続のコツ
日常での取り入れ方
- 通勤時の階段利用:職場が4階にあるため、毎日往復で階段を利用(朝の出勤時と夕方の退勤時で1日2回、約80段程度の昇降)
- 駅では可能な限りエスカレーターではなく階段を選択
- 買い物先でも階段移動を心がける
継続するための工夫
- 4階勤務のメリットを活用:エレベーター待ち時間を考えると階段の方が早く、時間効率も良い
- 最初は無理をせず、徐々に段数を増やす(通勤時の階段利用から始めて、他の場所でも実践)
- 階段を使った回数や段数を記録する
- 同僚といるときはエレベーターを使ってしまうことがあるのが悩みです…一人だけ階段でってなかなか言えないもので、上手く自分だけ階段で行きますと言える方法はないでしょうかね。
科学的根拠に基づく推奨事項
英グラスゴー大学による2023年の論文では、英国バイオバンクの約50万人を追跡した大規模研究により、日常的な階段昇降が複数の疾患リスクを有意に低減することが証明されました。
健康効果を得るための目安として、以下の基準が推奨されています:
- 毎日50段以上の階段昇降
- 1日4分以上、週4日以上の継続
- 1日16~20回程度の階段利用
まとめ
階段移動は、特別な器具や費用を必要とせず、日常生活に簡単に取り入れられる理想的な運動です。科学的根拠に基づく健康効果は明確で、継続することで確実に健康改善につながります。
私自身、4階の職場に通勤するようになってから階段利用を心がけて塵も積もればの精神で体力の向上、維持を意識しだしました。毎日の通勤が健康づくりの時間にもなり、一石二鳥の効果を感じています。皆さんも、今日からエレベーターの代わりに階段を選択してみませんか?小さな一歩が、大きな健康改善への道筋となるはずです。
参考文献・根拠データ
- 英国バイオバンク12.5年追跡研究
- 英グラスゴー大学2023年論文
- チューレーン大学研究発表
- 中高齢者対象階段昇降運動研究(75日間追跡)
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